







魅惑の大陸へ旅立つ
フルーツレーベル・トラヴェラー。
軽やかに赤道を越え
南米から届けられる 色鮮やかな果実たち。
"Gateway to South America"
World Wide Wonderland, Fruit Labels Issue:Cal 2016
an argyle design production
made in southwest-end yokohama, japan
adp 019
Work by Yoshimoto Hiroshi - Masaaki Miyara
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JANUARY_ Tropy, Banana, Colombia
FEBRUARY_ ↑↑, Melon, Panama
MARCH_ Turbana, Banana, Colombia
APRIL_ Excelban, Banana, Ecuador
MAY_ Onkel Tuca, Banana, Ecuador
JUNE_ Clemenvilla/Navel, Orange, Uruguay
JULY_ Rosalia, Lemon, Argentina
AUGUST_ Simba, Banana, Costa Rica
SEPTEMBER_ Agricom, Quince, Chile
OCTOBER_ Colibri, Mango, Brasil
NOVEMBER_ By Air, Mango, Perú
DECEMBER_ Sharon Farms, Mango, Venezuela
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● カレンダー_ ポストカードサイズ・孔版印刷・片面印刷・白画用紙・12枚
● ダストジャケット_ 孔版印刷・片面印刷・クラフト紙
● 帯
● OPP袋
積極的な写しと観ることについて
(かつて)多くの魅力的なフルーツシールは、凸版印刷やシルクスクリーン印刷で刷られていました。十年目の前作から、その背景の理解、再発見のために、シルクスクリーンに近い「孔版印刷」という技法を活用しています。
色ごとに造形を理解し分解をし、想像上の版をとり、一色一色ごとに色を重ね刷り上げています。そのため、作為を超えた版ずれから起こるインクの掛け合わせや白抜け、「孔版印刷」の特徴である色ムラやカスレが、飾らない絶対非演出のなかで時としていきいきと生じます。
読み人知らず的なアノニマスなデザインといえるフルーツシールのその造形のアウトラインをなぞることで、作者の「手と眼の痕跡」を、ぼくらの手と眼で丁寧に追いかけました。当時の技術や「色」の文脈への理解を下敷きに、こうやって、ぼくらが愛した旧き良きチャーミングなフルーツシールの面影がここに蘇りました。
このデケイド、ぼくらは世界中を軽やかに流通するこの愛くるしい「小さきもの」への大きな敬意の表明と、その脚元を明るく照らすパブリシティを目的に、架空の旅をテーマに「フルーツシール・トラヴェラー」としてカレンダーを作り続けてきました。魅惑の大陸《南米》を題材とした十一年目の本作は、ぼくらにとって、憧憬の念や深い共鳴、シンパシーを持って手本とされた古今東西の「やきもの」のような、あるいは和歌の「本歌取」に似た、対象への最大のオマージュを携えた積極的な写しの態度のある種の到達点、完成形と云えるのかもしれません。
好きな先人の言葉があります。
「美とは、それを観た者の発見である。創作である。」
ぼくらの眼の純度をたよりにしたこの発見と創作を、ぜひ手に取り、一年を通して、つぶさに観てもらえるとうれしいです。
宮良当明